北前船風日本世界名作選(1)鼻
あまり本も読めなくなるのではないかと思い、
昔読んだものも含めて自分なりに
名作と思うものを記録していきたいと思います。
「鼻」(芥川龍之介)(1916年)
中学生の頃に希望購入で買ってみた新学社文庫。
¥300という値段(当然、消費税なし)は、他の出版社の
芥川ものも似たようなもの。
いるのですが、「羅生門」「地獄変」「蜘蛛の糸」は入っていません。
今考えると何でこっちを購入したのか。
収録されていない3作品はどちらかというと
おどろおどろしいので苦手だったのかな。
さて、30年以上ぶりに読んだ「鼻」。
内容は見事に忘れていたので新鮮に読めました。
ネットで調べればいろいろな意見が出るのでしょうが、
本当に短くなるものなのかなぁ、鼻。
『人間の心には互いに矛盾した二つの感情がある。もちろん、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。ところがその人がその不幸をどうにかして切り抜けることができると、、、』
私のどこかにもこのようなところがあるかもしれないと思いました。
あれ程苦しんでいたコンプレックスが解消したのだけど、却って居心地が悪くなり、また振り出しに戻って安心するという内容ですが自分の抱え持つコンプレックスの大きさによってこの作品の受け止め方はかわるでしょう。
私は老け顔なので中高の頃からよく言われてました。会社入ったときには部長みたいだといわれるぐらいでした。「老け」のことを言われると「あ~またかぁ」と思い、やり過ごしてました。外国のちょっと怖くてスレンダーな女王様が使っている鏡を見ても、日本製の洗面台の鏡を見ても本当のことしか映してくれません。それでも、同級生が妙に燥いだ声で「10代じゃ~ん」とか言って気使ってくれると非常に腹立たしくなったのを覚えてます。歳月が経つとそんなこともよりも気をつけなくてはいけないことが多くなり、いつのまにか本当に老けてました。
...なんかどっかで読んだ物語(はなし)だな。